2023/03/28 18:44

国際認証を受けたオーガニックコットンのTシャツは一枚4~6,000円台ですが、無印良品のオーガニックコットンTシャツは一枚1,000円以下で買うことができます。どうしてこんなに安くできるのでしょうか?
無印良品は自社のオーガニックコットン製品について「世界中の生産地に契約農場をもつ日系の企業から、直接、計画的に安定して原料を注文することで低価格を実現できている」としています。
GOTSに代表されるようなオーガニックコットンの国際認証は、おおまかにこのような基準を設けています。
・3年以上無農薬で栽培している
・生産者の人権に配慮している
・搾取が行われていない
・教育やインフラなど、生産地への支援を行っている
無印良品のオーガニックコットン製品には、国際認証のマークはありません。
おそらく無印良品は、純粋に「無農薬」という点に限って「オーガニックコットン」と言っているのだと思います。
その他の評価基準である「人権へ配慮されているか」「搾取がないか」については、無印良品が「新疆綿」を使っていることと切り離して考えることはできません。
2021年、「新疆綿」が世界中のアパレル業界で大問題になりました。新疆綿とは、中国の新疆ウイグル自治区で作られた綿のこと。中国政府が、新疆ウイグル自治区の住民を収容し、強制労働によって綿の生産をしている疑いが指摘され、アメリカやヨーロッパで新疆綿の不買運動や締め出しが行われました。
その当時、「新疆の強制労働に加担している可能性がある企業」として、無印良品やユニクロが名指しされました。
2023年現在、無印良品もユニクロも、引き続き新疆綿を使っています。発表によれば、どちらの企業も「第三者による監査を行っており、生産過程で人権が守られた綿だけを使っている」とのことです。
そもそも、強制労働と新疆綿には本当につながりがあるのかについて、真実は分かりません。ただ、強制労働が行われていないとしても、「値段が安い」=「適正な賃金が支払われていない」「生産地への支援が行なわれていない」と考えるのが妥当ではないでしょうか。
こういった点で、無印良品のオーガニックコットン製品は国際基準を満たさないのだと思います。
無印良品のオーガニックコットン製品をどこまでオーガニックと考えるかは、結局は個人の判断です。
Tシャツを買うときに「無農薬の綿」だけにこだわるのであれば、無印良品のオーガニックコットンTシャツがこのお値段で買えるのは企業努力の賜物。とてもありがたいことです。
オーガニックコットンTシャツを買うことで、人権擁護やフェアトレード、生産者のよりよい暮らしに貢献したいと思うのであれば、GOTS認証を受けた値段の高いオーガニックTシャツを買うべきです。
本来、認証を受けたオーガニックコットンTシャツは割高なのが当たり前。安いということに疑問を持ち、どこまで許容するかは自分で線引きする必要があります。